仮に、株の運用を証券会社に委託する時は、誰もが気になるところは「運用利回り」です。
つまり大切な資金が、1年後・2年後・3年後、そして10年後にはいくらに増えているか・・、これが重要なわけです。
どうしても、FXをはじめて間もない頃は、自分でチャートを用意しなければならないせいか、FXの理論や法則や、インジケーターに関する知識の習得に没頭しがちで、どちらかと言うと、チャートマニアのようになってしまいがちです。
FXの知識として大切なものは、どういうふうに効率的にお金を増やすか・・という側面から見た知識が何よりも重要なのであって、エントリータイミングの精度やインジケーターの動作理論ではありません。
このことを勘違いしたままトレードを続けても、決して資金は増えることはありません。
FXの基礎的な知識
まずは、FXの基本的な仕組みから見ていきます。
2国間の為替価格の差額が儲け
FXと言うのは、異なる2国間の通貨を取り引きした際に生じる、為替価格の差益で儲ける投資です。
例えば、日本人トレーダーに一番人気の通貨ペアである「ドル円」を取り引きした場合を例として見てみると・・、

1ドルが140円の時に10,000ドル(=1ドル100円計算で1,400,000円相当)の買いの注文を入れ、150.00(=1ドル100円計算で1,500,000円相当)で売りの注文を入れ、無事に決済をすることができました。 この時の差益は150円-140円=10円となります。 つまり、1,500,000円-1,400,000円=差額100,000円の利益を手にすることができるわけです。 逆に、予想に反してドルの価格が130円に下がってしまった場合には、100,000円の損失が発生することになります。
これがFX(外国為替取引)で利益をあげる仕組みです。
取り引きする場所は外国為替市場
FXは世界中の為替取引所で行われており、取引所には大きくふたつの種類があります。
ひとつは各国の中央銀行や民間銀行、また、為替売買の仲介を行う為替ブローカーなどが参加する「インターバンク市場」、もうひとつは機関投資家(生命保険会社や損害保険会社、年金や投資信託を運用する機関)や外貨預金をしている人や海外旅行をする人などの個人や、商社や輸出入業者などの企業などが参加する「対顧客市場」です。
「インターバンク市場」は、取り引きしたい者同士が直接為替の売買を行う金融機関の資金運用・資金調達目的の市場で、「対顧客市場」は銀行の仲介によって為替取引が行われる市場です。
3大為替取引市場 – 東京・ロンドン・ニューヨーク
為替取引の3大市場として「東京市場」「ロンドン市場」「ニューヨーク市場」が有名です。
ただし、取引所として物理的な建物が存在するわけではなく、その時間帯に中心となって取引を行う銀行が存在する場所(都市のこと)を示しているに過ぎません。
実際の取引は、インターネットや電話を使って行われ、世界中のどこからでも、どの取引所でも取引ができるようになっています。
なお、それぞれの市場での実際の取り引き時間詳細(夏時間や冬時間、クリスマスや年末年始など)については、契約するFX業者からメール等で案内されます。
オセアニア市場(ウェリントン市場・シドニー市場)(am5:00~)
日付が変わるとまず、ニュージーランドのウェリントン市場が日本時間のam5:00ごろにオープンし、その次にシドニー市場がam7:00ごろにオープンします。
オセアニア市場は他の市場に比べて取り引き参加者が少なく、あまり大きな値動きは期待できません。
そのため、短時間で決済まで完了するようなトレードが好まれます。
オセアニア市場で動きやすい通貨ペア:豪ドル米ドル、ニュージーランドドル米ドル
東京市場(am9:00~
オセアニア市場の次は、東京市場がpm9:00ごろにオープンします。
東京市場では,、日本のほか、中国、シンガポール、オーストラリアからなどの取り引き参加者が多い時間帯となります。
この市場もオセアニア市場と同じく大きな値動きを期待することは難しく、やはりオセアニア市場と同様に、短時間で決済まで完了するようなトレードが好まれます。
東京市場で動きやすい通貨ペア:ドル円、豪ドル円などのクロス円(後述)と呼ばれる通貨ペア
ロンドン市場(pm16:00~)
ロンドン市場は日本時間の16:00ごろにオープンします。
この市場はヨーロッパの取り引きの大半を占め、 pm17:00ごろからは取り引き参加者が急増し、一気に値動きが活発になる時間帯です。
通貨取引量で世界第1位の基軸通貨である米ドルはもちろん、米ドルに次いで取引量の大きいユーロなどの通貨が活発に取引される時間帯です。
21:00以降は次の市場となるニューヨーク市場と重なる時間帯となるため、世界中のトレーダーがこの市場に参加します。
ロンドン市場で動きやすい通貨ペア:ユーロやポンドを主とした通貨ペアをメインにほとんどの通貨ペア
ニューヨーク市場(pm21:00~)
ロンドン市場とニューヨーク市場のふたつの市場がオープンしているpm21:00~am2:00は、世界中から多くのトレーダーが参加し、取り引きが活発になる時間帯です。
ニューヨーク市場で動きやすい通貨ペア:ドル円、ユーロ米ドルなどのストレート通貨(後述)と呼ばれる通貨ペア
通貨の特徴
通貨は、それぞれの通貨発行国の特長に準じた特性を持っています。
どのような世界情勢と連動しやすいか、どの国との貿易依存が高いか・・など、その通貨の概要を把握しておきましょう。
米ドル(USD)
米ドルは世界の基軸通貨としてもっとも信用力が高く、影響力の高い通貨です。
世界中で使われ、経済不安や災害などの際には多くの投資家が安全通貨として米ドル買いに集中する傾向にあります。
また、アメリカの経済指標は多くの投資家に最も注目される情報で、他の通貨と比べてもその情報量が豊富です。
ユーロ(EUR)
ユーロはユーロ加盟国の共同通貨という位置づけで、米ドルに次ぐ取引規模があり、よく「米ドルとユーロは逆の動きをする」と言われます。
これは米ドルの価値が下がった時に、その避難先としてユーロが選ばれることが多いからです。
ユーロも米ドルと同様に、EU代表やEU加盟各国の要人の発言で乱高下することが多く、その経済指標には注意が必要です。
ポンド(GBP)
ポンドはイギリス通貨で高金利通貨としても人気があり、他の通貨に比べると、とても値動きが激しい通貨に分類されます。
値動きが大きい分だけ利益も狙いやすいのですが、その分リスクも高くなるため注意が必要です。
豪ドル(AUD)
豪ドルは、高金利通貨であると同時に資源国通貨という側面も持ち合わせている通貨です。
金をはじめとする資源価格が上昇すると豪ドルを買う動きが強まりますが、逆に、世界的な景気悪化が予想されると真っ先に売られる通貨でもあります。
オーストラリアは輸出・輸入とも中国との深い関わりを持っているため、中国経済の影響を受けやすい傾向にあります。
ニュージランドドル(NZD)
ニュージーランドドルも豪ドルと同じく高金利通貨のひとつで、その最大の輸出入相手国はともにオーストラリアのため、ニュージーランドドルは豪ドルと似たような動きをする特徴があります。
主な輸出品は酪農品や肉類などの農産物で、農産物市況と大きく連動する特徴もあります。
カナダドル(CAD)
カナダも世界有数の資源国であり、特に天然ガスや原油価格との連動性が高いのが特徴です。
また、経済的な依存度の高いアメリカの影響を大きく受けやすく、金融政策においてもアメリカからの影響が強くなる傾向にあります。
スイスフラン(CHF)
スイスは永世中立国で紛争に巻き込まれにくいため、その通貨のスイスフランは比較的安定した通貨とされ、紛争が発生した時などは避難通貨として好まれる傾向にあります。
また、貿易対象地域の90%以上がユーロ圏ということの影響が大きく、その値動きは多くの部分でユーロとの連動性が高いのが特徴です。
ふたつの通貨の組み合わせ=通貨ペア
実際に取り引きを行う際には、ふたつの通貨の組み合わせ=通貨ペアで行います。
通貨ペアは、通貨の組み合わせ方によって次のふたつの種類に大別されます。
ストレート通貨
ドル/円、ユーロ/米ドル、英ポンド/米ドル、米ドル/スイス、豪ドル/米ドルといった、米ドルと他通貨の組み合わせの通貨ペアを(ドル)ストレート通貨と言います。
為替取引では、基軸通貨となる米ドルを中心に取引が行われ、各通貨は対米ドルとの取り引きでその価格が形成されます。
クロス通貨
ポンド/豪ドル、ユーロ/豪ドル、ポンド/スイスフランなど、米ドルを介さない通貨ペアをクロス通貨と言い、さらに、クロス通貨の中で、円が含まれる通貨ペアをクロス円と言います。
クロス円の通貨ペアとしては、ユーロ/円、ポンド/円、豪ドル/円、ニュージランド/ドル円、カナダドル/円、スイスフラン/円などがあります。
クロス通貨の取り引きの流れを、例えばユーロ円で見てみると・・、
ユーロを買う場合には、まず、口座に預けている円で米ドルを買う取引が発生し、次に、買った米ドルを売ってユーロを買うという、ふたつ目の取引が発生します。
つまり、直接円でユーロを買えるわけではないのです。
こうした取り引き上の流れが「クロス通貨」と呼ばれるようになった理由です。
相場を分析し、売買するためのふたつの方法
取り引きする通貨ペアが決まったとしても、相場の状況、つまり、どちらの通貨を買い、どちらの通貨を売るべきか、また、そのタイミングは・・などを細かく分析し、判断するための方法が必要になります。
実際の取り引きでは、次の2種類の分析方法のいずれか、または両方を併用させて相場を分析し、通貨を売買します。
ひとつはファンダメンタルズ分析と呼ばれる方法、もうひとつはテクニカル分析と呼ばれる方法です。
ファンダメンタルズ分析
ファンダメンタルズ分析は、様々な経済関連のデータを活用して相場分析をする方法を言います。
この方法は、比較的中長期の投資に適した分析方法で、具体的には、各国の金融政策や政策金利・雇用統計などの指標から自分なりの考察を集約し、取り扱い対象の通貨の方向性を判断します。
ファンダメンタルズ分析は、経済に関する広範囲で深い知識を要求されるため、FX初心者にとってはかなり敷居の高い分析手法です。
テクニカル分析
テクニカル分析は、チャートを使った相場分析の方法です。
チャート上にインジケーターと呼ばれるサポートツールを描画させ、相場状況を視覚的に、より正確に判断できるように工夫したものを用います。
チャートの用意の仕方には3種類あり、下記いずれかの方法で用意する必要があります。
①インジケーターや投資理論を学んで自分でチャートを組み上げる
②有料のものを購入する
③無料で手に入れる)
ローソク足、ラインチャート、バーチャート
そもそも、チャートというのは過去の価格の推移を描画したテクニカル分析用のツールで、基本的にローソク足(上記チャートサンプルの図)、ラインチャート、バーチャートの3種類のいずれかで表示されます。
それぞれの表示は、下図3枚のチャートを参考にして下さい。
ちなみに・・、
ローソク足は、1本が始値・高値・安値・終値で構成され、棒状の形で表示されます。
バーチャートは、始値・終値・高値・安値の4本値をひとつとして、バー状の形で表示されます。
ラインチャートは、終値だけをつなげたものが折れ線で表示されます。
どの表示を基本にするかは個々人の自由ですが、基本的には、多くのトレーダーにもっとも多用されているローソク足を使うのが良いでしょう。



FX最大の魅力「レバレッジ」の正しい解釈
FXには、株にはない「レバレッジ」という仕組みがあります。
この仕組みを使えば、仮に少額の資金しか用意できなくても、その何十倍、何百倍、あるいは千倍以上もの数量を取り引きすることができるようになります。
ただし、国内のFX業者は最大レバレッジ25倍と法律で定められていますが、海外のFX業者であれば、100倍・・500倍、1000倍(1000倍以上もあり)ものレバレッジを利用することができるため、資金の少ない人にとってはとても魅力的です。
ここで、あらためてレバレッジというものをイメージしやすいように、比較的馴染みのある株を例にあげてみます。
例えば、ある企業の株を100株購入するためには、1株1万円とすると×100株=100万円が必要となります。 この時仮にレバレッジ100倍で株を購入できるとすれば、100万円の1/100のお金、つまり、わずか1万円があれば100株分を購入することができるということです。
実際には株は現物取引なので、レバレッジの仕組みを使うことはできません。
しかしFXであれば、わずか数万円ほどの少ない資金からでも簡単に投資を始めることができるのです。
株でもどんな投資でも、資金を失くしてしまうのはリスク管理が曖昧なためであって、レバレッジそのものが危険なわけではありません。
レバレッジは、あくまでも少ない元手で大きなお金を運用できる仕組みに過ぎませんので、その自由度は高いほど良いわけです。
ロット=取引数量を把握する
1ロットは注文する際の最低単位です。
トレーダーは、10,000通貨や100,000通貨などのまとまった数量で1回分の取り引きを行います。
例えば、1ロット=1,000通貨、1ロット=10,000通貨、1ロット=100,000通貨のように。
1ロットの単位は利用するFX業者によっても異なりますし、また、同じFX業者でも開設した口座の種類によっても異なりますので、自分の使う取引口座のロットについてよく理解しておかなければなりません。
ちなみに、1ロットを取引するのに必要な証拠金を求める計算式は以下のとおりです。
「必要証拠金=現在の為替レート×ロット数(1,000通貨や10,000通貨など)÷レバレッジ(25倍)」
例えば、現在のドル円の為替レートが1ドル140円とすると、1ロット=10,000通貨とした場合には「140×10,000÷25=56,000」です。 つまり、56,000円が1ロットでトレードするために必要な証拠金となります。 この時、レバレッジが250倍であれば必要証拠金は5,600円、レバレッジが500倍であれば必要証拠金は2,800円となります。
このように、FX最大の魅力であるレバレッジを有効活用すれば、資金が少なくても大きなロットでの取り引きが可能となります。
少額資金でFXをはじめたい方には、レバレッジの自由度の高い海外FX業者をオススメします。
リスクリワードレシオを重視する
株でもFXでもそうですが、特に短期売買をするFX初心者の人たちの中には、知らぬ間に、勝率至上主義に染まってしまう人が多いように見受けられます。
投資をすると言うことは、どうやって大事なお金をどう増やすかということに尽きます。
このことが理解できていれば、「勝率」というのは資金を増やすためのひとつの要因にしか過ぎないことが理解できるはずなのですが、毎日チャート上で売買を繰り返していると、どういうわけか、昨日は勝ったとか、今日は負けてしまったとか、勝率が主軸の考え方になっていく人が多いのです。
実は投資でもっとも重要な考え方は、リスクリワードレシオ(損失と利益の比率)と呼ばれるものです。
リスクリワードレシオが重要な理由
リスクリワードレシオは損失と利益の比率のことで、1回で被る損失に対してどれだけの利益を得ているかを表した数値です。
つまり、リスクリワードレシオを活用することで、被った損失と獲得できた利益を振り返り、現在の手法が将来的に利益を継続的に獲得できるかどうかを推測することができるのです。
その数値があまり良くない場合には、いったん使っている手法を中止し、検証し、手法を見直すなどの改善を図ることができるわけです。
リスクリワードレシオの計算式
下記がリスクリワードレシオの計算式です。
【勝ちトレードの平均利益÷負けトレードの平均損失】
勝ちトレードだけを足していき、合計したものを勝った回数で割ったもの・・これが平均利益で、負けトレードだけを足していき、合計したものを負けた回数で割ったもの・・これが平均損失です。
例えば、勝ちトレードの平均利益=10万円で、負けトレードの平均損失が5万円であれば、リスクリワードレシオは2となります。例えば、勝ちトレードの平均利益=10万円で、負けトレードの平均損失が10万円であれば、リスクリワードレシオは1となります。
リスクリワードレシオが1を下回るということは、収支がマイナスということになります。
このように、トレードの獲得収益のパフォーマンスを知ることができる数値がリスクリワードレシオです。
リスクリワードレシオと勝率の関係
では次に、リスクリワードと勝率の関係について見てみましょう。
下図は、リスクリワードレシオと勝率の関係から算出される利益率を表にまとめたものです。
FXで獲得できる利益は、単にリスクリワードレシオだけで計算できるものでもなく、単に勝率だけで計算できるものでもなく、リスクリワードレシオと勝率の両方から導き出されるものです。
これからFXをじはじめようとする方は、このことをしっかりと理解したうえで、資金管理を徹底し、利益を積み重ねていける手法を作り上げていかなければなりません。

0%の白い部分は損益分岐点(利益も出ないし、損失も出ない)になります。
例えば、勝率50%でリスクリワードレシオが1であれば損益はゼロで、例えば、勝率60%でリスクリワードレシオが1.5であれば、仮に100万円で開始した資金は+50万円(利益率50%)の利益を上乗せすることができ、トータルで150万円の利益になる・・という見方です。
インジケーターやチャートの知識が豊富だからと言って、決してお金が増えるわけではありません。