実は、昨年夏に、生まれて初めての子宮がん検診で要精密検査になってしまい、結局手術をするはめになってしまってたのです。
オロオロしたり、しょんぼりしたり、眠れなくなったり、前向きになったり、、、気持ち的に大変でした。先生から受けた説明だけでなく、自分なりに子宮がんについて調べたり、勘違いしたり、学んだりしました。術後1年を経過して、やっと書く気になったので、思い出しながら、がん検診から手術までの体験談を書いてみようと思います。
子宮頸がん検診を受けてみた
これまで、いけないことですが、市の健康診断やがん検診など受けたことがありませんでした。
なのに、なぜ突然気が変わって受けたのか?と言いますと、ふたつ理由がありまして。
ひとつは、福島原発事故があったときに、放射性物質とガンについての記事に、「女性の場合、子宮に放射性物質が溜まりやすい」、という、ホントかどうかわからないけれど、そんなことが書いてあったのを読んで、女性は子宮がんリスクが高いのかもしれないと思っていたのです。
もうひとつの理由は、結構な歳(50歳!)になってきたので、一応、がんになっていないことをハッキリさせておきたいな、と。
今思えば、どちらも理由になってないような感じですし、この歳まで検査をしないなんて、絶対だめ!!!!とわかりましたが、昨年の私は、のんびり、もうそろそろ・・なんて考えてたんですね。
8月の上旬に、近くの病院に予約を入れて、子宮頸がん・大腸がん・肺がん・乳がんの検診を受けました。
子宮頸がんは、サイトピックという器具で子宮頸部の細胞をサッと採取する感じ。まったく痛みもなく、検査した先生は、「大丈夫そうだよ」とさえ、言ってくれました。
検査結果(細胞診)は子宮頚部異形成、要精検
ある日、「親展」で、「特定記録」で郵便物が送られてきました。
子宮がん施設検診記録票には
細胞診結果
ベセスダシステム HSIL
クラス分類(参考)Ⅲ
結果の通知
総合判定 有所見(病名)子宮頸部異形成
今後の指導 精検
と、あり、もう一枚の紙に、
子宮頸がん細胞診結果
クラスⅢ「異型腺細胞を認めます」(HSIL)
と、ありました。
もう、基礎知識ゼロの私にとって、異形成とか、腺細胞とか、HSILとか、まったくわからない言葉。
私は、「有所見」=がんの所見があるってことよね・・・
「クラス3」=3?なにこれ、いわゆる、ステージ3とかっていうやつ?かなり悪くなってるってこと?これから放射線治療とか、抗がん剤治療とか?
と、半分パニックに。
オロオロしながら、封筒に入っていたお勧めの(関連病院の)病院の電話番号に電話をして、診察予約をしました。
精密検査は、コルポ診察や生検をして組織診断を行うそうなのですが、最初の検診で行った細胞診から2~3週間以上経過後に行うのが良いようです。さらに、細胞診結果と比較できるように、同じ病院(または系列病院)で行ってください。とのことでした。
その電話では
「一番近い日の診察予約だと、翌日でとれるけれど、コルポ診断ができる先生は来週の水曜日になります。どうしますか?」と聞かれ
・・・コルポ?それなに?
ちょっと、あせっているのが伝わったのか、とりあえず翌日の予約をとってくれて、先生を話しをすることを勧めてくれました。
それから少し自分を落ち着かせて、調べてみました。
クラスとベセスダシステム
子宮頸がんの細胞診結果は、以前は、クラス分けをしていたようで、(もちろん、がんのステージとは全く別物です)クラスⅢと書かれていたのは、程度の差はあれど、一応、「悪性疑い」ということでした。
クラス
Ⅰ・・・正常
Ⅱ・・・異常細胞はあるけれど良性
Ⅲa、Ⅲ、Ⅲb・・・悪性疑い
Ⅳ・・・極めて強く悪性疑い
Ⅴ・・・悪性
最近では、ベセスダシステムという分類をするようになり、
扁平上皮細胞
NILM・・・異常なし
ASC-US・・・意義不明な異型扁平上皮細胞がある
ASC-H・・・HSILを除外できない異型扁平上皮
LSIL・・・軽度異型扁平上皮細胞
HSIL・・・高度異型扁平上皮細胞
SCC・・・扁平上皮がん
腺細胞
AGC・・・腺異形または腺痛疑い
AIS・・・上皮内腺痛
adenocarcinoma・・・腺痛
となっているようです。
詳しくはがんセンターなどのHPに載っています。
クラスⅢ「異型腺細胞を認めます」(HSIL)とは?
では、私の
クラスⅢ「異型腺細胞を認めます」(HSIL)
は、どのように捉えたらよいのでしょうか?
クラスⅢ・異型腺細胞があるということから、腺がん?
色々調べたら、子宮頸がんは、80%が上皮がんで、20%が腺がんということだそうで、腺がんのほうがやっかいな印象を受けました。
進行がんならどちらでも大変なことには変わりはないのですが、「腺」ってついてるし。
でも、HSILは、扁平上皮がん系列の分類のような・・・
と、いうことは、扁平上皮にもがんがあり、腺がんでもある、という可能性が高いってことなのかな、とか、もう、調べれば調べるほど、よくわからなくて、沼にはまっていく感じ。インターネットってありがたいけど、ありがたくない。
どれだけ調べても、自力で納得できる記載はないし、不安は増すばかり。
結局、検査を進めていかなければ自分の状況はわからない。最悪、ほんとにサイアクな結果もアリかもしれない。
と。
コルポスコピー検査と組織診
まだ精密検査を受けれるわけではないけれど、とりあえずの診察に行き、死ぬのは困ることや、介護などもあって入院も長期ではできないことなど、話しましたが、先生は、、、
「早めにわかってよかったですね」
「死にませんよ」
という軽い感じ。
生検をしてみないと、はっきりとしたことは言えないけれど、円錐切除術という手術をして治療が終了するのではないか?という見解でした。
円錐切除術は、この日に診察してくれた先生とも、コルポ診察や組織診察をする先生とも、また別な先生らしく、この病院で円錐切除術をするなら、入院期間は2泊3日。1泊や、日帰り手術を行っている病院もあるので、2泊どうしてもできないときは、別の病院も紹介してくれるとおっしゃってくれました。
コルポ診察
そして、後日、コルポ診察。顕微鏡?で頸部を見る検査。組織診断のために悪そうな個所を数か所切り取ったようです(生検)。酢酸(?)をかけた写真も見せてくれましたが、何がなんやらよくわかりません。また、細胞診結果に「異型腺細胞が存在します」とあったので、子宮体がんの検査も同時に行いました。(子宮がん検査のために細胞を取るときは、すごく!痛い!と聞いていましたが、それほどでもなかったです。)エコーもしたら、小さい筋腫も見つかりましたが、筋腫は1cm程度なので、問題なし。
それで、先生からは、
「子宮はいらないよね?」
えっっ!そりゃ、まあ、なくてもいいですが、、それよりも、子宮摘出?!コルポで見ただけでわかるくらい、治療はそんなに簡単じゃなくて、ガンの状態そんなに悪いの?と思っていたら、
「もしかしてガン化してる可能性あるから。ガンになってたとしても、ちょっとだけだけどね。でもさ、時々、高齢でも絶対に子宮は切りたくない!って人いるから。もし、ガンだったら、大学病院を紹介するからね。子宮の全摘は大学病院を紹介するからね」
と、言われ、どういう風に捉えたらいいのか、また、プチパニック。
ここから、、組織診断の結果が出るまでの3週間。とてもとても長い、長すぎる日々を過ごしました。異型腺細胞があったことで腺がんの可能性が高いのかどうかも、とても気になっていたけれど、子宮いらない~の話が出て聞きそびれ、そのことも、その後3週間を悩ます要因になりました。
頭の中は、子宮全摘手術のことでいっぱい。卵巣は残すのか、残せるのか、残したほうがいいのか、残さないほうがいいのか、まわりのリンパはどの程度とるんだろう、術後の排尿困難やそのコントロール、むくみはどの程度出て、再発率はどれくらいで、あとどれくらい生きていられるのかな、、とか。
毎日毎日、ネットサーフィン。どんどん、悪いほうにしか考えられなくなっていってました。
ガンのステージと治療方法など、腺がんの特徴
組織診断の結果を受け止めるためにも、先生の言ってる内容を理解できるようになるためにも、基礎知識としてガンの状態やステージ、治療法など、わかってないと先生とお話しできないので、一般論的な知識を。
(ざっくりと、なので、詳細はしっかり、がんセンターや病院のHPで確認するようにしてください)
0期 上皮内がん 前ガン病変と言われる状態で、上皮内だけにガン細胞がとどまっている状態。円錐切除術、単純子宮全摘出術(子宮だけ摘出。周りのリンパや周辺組織の切除はしません)で治療。
1期 微小浸潤ガン ガンが子宮内にだけ、留まっている状態。
ⅠA1期・・・組織診断の顕微鏡でしか見えない浸潤がん。浸潤の深さ3mm以内、縦軸方向広がり7mm以下。単純子宮全摘出術
ⅠA2期・・・浸潤の深さ3mm~5mm、広がりが7mm以下。準広汎子宮全摘出術
ⅠB1期・・・肉眼で明らかにわかる浸潤ガン。病変は子宮頸部に限局。または肉眼では明らかではないがIA期を超えるもので病変が4cm以内。広汎子宮全摘出術・放射線治療
ⅠB2期・・・子宮頸部に限局する。病変が4cmを超えるもの広汎子宮全摘出術・抗がん剤治療
2期 ガンが、膣壁や子宮頸部の周囲の組織には広がっている。進展が高度ではない
3期 進展が高度。
4期 ガンが、膀胱や腸に広がるか、遠隔転移がみられる
腺がんかどうかとても気になっていたのは、ガン細胞が飛び石のように広がっていくということと、
腺がんは扁平上皮がんに比べてリンパ節転移が多く、放射線療法や薬物療法が効きにくい、卵巣転移などが高頻度で起こるという特徴があります。
https://oncolo.jp/cancer/cervical/about/article3
こういう記述があったりで、気になっていました。とても。
これらの知識を得て、単純子宮全摘が可能な1a1期以下であることを毎日のように祈りながら、野菜やフルーツをたくさん食べ、速歩で1日30分歩き、湯船にも2~30分浸かって身体を温めたりしてました。気休めにしかならなくても、やってました。
組織診断の結果
やっと、3週間が経過し、診断結果。
「ガンがありました。」
がが~ん!!!というより、やっぱり。。。という落胆でいっぱい。
それで、、、、
大学病院を紹介してもらって、そこでCTやMRIでガンの広がりを確定して、子宮周りをどれくらい取るのか決めるのだ・・・
と思っていたのに、なぜか、先生は、
「円錐切除術をやるので、それは、僕じゃなくて、●●先生がやりますから、●●先生の診察を受けてください。」
と。子宮摘出するのに、円錐もやるの?円錐やったときにがん細胞が散らばったりしないの?結局、子宮摘出になったらこの病院ではできないのに、円錐切除をここでするの?
もう、???だらけ。いくつか確認できたことは。
- CTやMRIはしない
- 腺がんではない
- 体癌でもない
- 異型腺細胞は子宮体部から落ちてきていただけで、たまたま細胞診のときに存在してしまった
- がんはあったけど、ほんとに少しだけ。ほんの数ミリ
やっぱり、ガンだったんだ。と、、それでも、腺がんではないって、ハッキリ先生は言ってた。でも、ガンだったら子宮摘出って言ってたのに、「円錐切除しないで子宮を取るなんて乱暴なことはできない」、って言われて、それって、単純子宮全摘でいいと、現状では確定できなくて、リンパも取る広汎子宮全摘出術の可能性もあるってことよね?と、、、
頭の中は、子宮摘出ありきで、単純子宮全摘術がベスト!だと思ってたので、それはそれは、ガッカリして、病院からの帰りは少々動悸もしてしまったりしてました。
円錐切除術
円錐切除をしてくれる先生の説明は、とても丁寧で詳しかったです。これまで、毎回聞きたいことを聞けずに、診察後に家でもんもんとしていたので、この時は、聞きたいことを紙に書いて持っていきました。その全てに答えてもらえました。また、私の不安も良く聞いてくれました。その先生にも子宮全摘のつもりでいたことを伝えたのですが、円錐切除術は必須。とのことでした。
もしリンパを取らなければならない状況だった場合に、円錐切除術をやらずに単純子宮全摘をしてしまっていたら、2回も開腹することになってしまうから、という理由でした。
- ガンがない(高度異形成)なら、円錐切除術
- ガンが、0期(上皮内がん)または、1A1期なら、単純子宮全摘出術
それ以上は、大変な手術になる・・・。と、考えていたので、私にとっては、円錐切除が必須と、改めて言われたことで、ある程度浸潤してて、上皮内でおさまってる可能性が低いのだろうと考え、かなり落ち込みました。
でも、もう、早いほうがいいと思って、この診察の日に術前検査をやってもらって、何も異常はなかったので、一番早い日に手術の予約を入れました。
入院
入院期間2泊3日で、超音波ナイフで子宮頸部円錐切除術。ついでに、子宮内膜増殖症の疑いもあるということで、子宮内膜全面掻爬術も行っていただくことになりました。
手術前日の午後に入院して、持って行った漫画を読んだり、テレビを見たり、シャワーを浴びたり、それまでオロオロしていた割に、入院したらのんびり気分で過ごせました。睡眠薬は飲んでいいと言われていたので、ルネスタ2mg。飲みました。
翌朝は、朝6時以降は水分摂取も禁止。起きたら、弾性ストッキングを履いて、トイレに行って、看護婦さんの指示通り、手術室へGO!
全身麻酔を希望していたので、あっという間に意識がなくなり、気がついたら、先生がのぞき込んでいて、「終わりましたよ♪」と。その後「ありがとうございました」と言って、また、目をつぶろうとしたら、「目をしっかりあけなさい!!!」と言われ、開けたつもりでもなかなか開かなくて、麻酔師の「酸素3Lじゃなくて、6Lにして」という言葉を聞いたところで、、その後の記憶がありません。
あとで、看護師さんからは、私がなかなか目覚めなくて、術後も先生が1時間半ほど、ずっとついていてくれたことや、酸素吸入の量が予定の倍量になったことを聞かされました。確かに、ベッドに戻されてからも、息がしずらくて、苦しかった記憶あります。午前中に手術だったのに、ハッキリ目覚めて立ち上がれたのは午後3時過ぎでした。
翌日朝、先生が創面(円錐切除で切り取った傷の面)からの出血が止まっていることを確認してくれて、退院しました。ちなみに、入院費用は5~6万円くらいでした。
ほとんど、何も問題なく、入院・手術が終わり、また、その結果待ちが3週間
・・・3週間って、なんとかならないんでしょうかね。長すぎます。
円錐切除術の結果、子宮全摘はどうなる?!
どういう結果だったとしても、この後、子宮摘出のために大学病院を紹介してもらうつもりでいましたが、
結果は
「上皮内がん、断端面陰性」「内膜増殖症の疑いもなし」
という、最高のありがたい結果でした。とりあえずのガンは取りきれた。ということです。
じゃ、単純子宮全摘ということになるので、大学病院の紹介状をいただこうとしたら、
「もう治療は終了だから、紹介状は書かない。」
と、言われてしまいました。
上皮内がん(いわゆる0期)の基本は全摘じゃないの?とか、そもそも、子宮はいらないよね?っていうところから始まってるわけだし、円錐切除で終わらせることに、なぜかとてもつもなく不安を感じてしまったわけで、結構な時間、ごねてしまいました。
子宮全摘をしたがる私を不思議そうに見ながら、病理の先生ともう一度相談するから、と言って、診察は終わりました。
結局、その後の1か月の間に、知り合いの医師や、そのつてで婦人科の先生方数名の見解を聞いたりして、子宮をとることのメリットとデメッリトを知り、また、もし、再発しても、再度円錐切除ができるわけだし、定期検診を受けていればまた早期に発見できるわけだし、その時には、子宮全摘してもいいのだし。と、治療終了ということに納得しました。
手術後の注意点
子宮頸部円錐切除術を無事終え、とりあえずの治療は終了しましたが、傷が癒えるまで数か月かかりますし、途中で様々な検査もあります。
円錐状に切り取られた面を創面と呼ぶそうです。
その創面の上皮がきれいに再生されてくるまでは、個人差があるそうですが、だいたい2~3か月かかるそうです。その間、出血が続きますので、感染を起こさないように、出血が多いときはシャワーのみ、少量なら浴槽に浸かってもOK、でも、短めで。夏場はシャワーのみがお勧めだそうです。
激しい運動、飲酒、サウナなどはNG。足湯や20分程度の速歩はOK。
下半身に力を入れる動きはやめておいたほうがいいでしょう。車の運転はOKだけれど、もし、出血するようなことがあったらすぐに病院に来れる範囲内までしか行ってはいけません。と言われました。
あと、食事は、野菜をたくさん食べて、免疫力を落とさないことだそうですが、意外と難しいですよね、基準がないし、免疫力が落ちてるのかどうかもわからないですので。でも、健康的な食生活をするってことなんだと思います。
他に注意することはなく、普段通りの生活に早々と戻ることができました。
そして、案外早く創面がきれいになり、細胞診の再開(術後3か月)も予定通り始まりました。
今回はここまで。次回、術後検査を1年間やってきたことについて書こうかなと思います。
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